メッセージ|文京学院大学スタートサイト

文京学院大学トップページメッセージ|理事長メッセージ

理事長メッセージ

_H5A5230.jpg

 世界は今、歴史上のペストやコレラ、スペイン風邪と呼ばれたインフルエンザの大流行に匹敵するような新型コロナウイルスの蔓延に翻弄されています。新型コロナウイルスの蔓延によって人と人が直接接しないでネット上でコミュニケーションを取ることが多くの場面で用いられ始めました。それに対していくつかのことを考えていかねばなりません。まずは、ネットを介したコミュニケーションに慣れていないことで社会から取り残されないようにすることです。画面越しの対話という慣れない手段だからこその気をつけるべきコミュニケーションテクニックがありますので、これを機会にいち早く身につけたいものです。また、移動が制限され、海外との接触が少なくなるからこそ、世界との接点をこれまで以上に気にかける必要もあるでしょう。視野の広さや正確な情報をいち早く入手することに気をつかわなければならないでしょう。感染の終息後も対人接触を最小限に済ます風潮になってしまうかもしれませんが、人間は五感を通じて他者とコミュニケーションすることでのみ得られるヒントやひらめきもあります。人嫌いにならずお互いを頼りとする人間社会を忘れずにいたいものです。

 

 さて、昨年は学園創立95周年を迎え、建学の精神を改めて考える年でありました。式典の中では巣立った卒業生がその精神をどのように自らのものとして日々の社会生活を送っているのかを検証できる、素晴らしい機会を持つことが出来ました。卒業生が投げかけてくれた言葉からあえてそれを一言で集約すると、「自立と共生」という理念から自らの生き方の指針を得て、胸を張って生きていることに私は思えました。

 

 創立者島田依史子先生は、女性の権利がまだきちんと認めていられない時代に「女性の自立」をうたって教育を始められました。女性でありなおかつまだ若い身の依史子先生が社会に受け入れられずに、理解や協力を得ることが大変だったわけです。自らがそれに立ち向かいつつ、慕ってついてくる教え子たちの先頭に立ち続け、女性であっても社会で活動するために人から信用してもらうにはどうしたらいいのだろうか、家庭環境や学歴にとらわれずに人に信用してもらって社会の役に立てる生き方があるはずだ、と追い求め続けたわけです。

 行きついた考えは、面と向かって男性や年配者中心の社会と闘うという方法ではありませんでした。徹底的に人を裏切らない、人を愛し、人に慈しみの心をもって接することが出来たならば、必ず人はあなたを信用してくれるという愚直で真っ正直な道を生徒に示し続けたのでした。「富士山のように八面玲瓏、表裏のない人になりなさい、そうすればひとはかならず信用してくれる」と説き続け、裏心の一切ない人なんてそう簡単にお目にかかれないような、人としての理想形のような目標を掲げ続けたのでした。

 

 自分の家柄や出身大学等によって高いプライドやエリート意識を持つ人はいつの世にもいます。男だというだけでその意識の一端になっていることもまだまだあるでしょう。そんな狭い料簡に対して依史子先生の人を裏切らず、徹底的に人のために行動することで必ず人から認められるという考えは何と心の広い考えでありましょうか。96年目を迎える本学園は、改めて人の多様性に敬意を示し、他人を大事にする「利他心」をもって行動し、そのことから自らのプライド=自尊心に基づいて行動できる真の社会エリートを育成する事を追い求め続けることを目指します。

 

 そして、学園全体が今求められている新しい時代の担い手の育成には何が必要かを中長期の視野に基づいて立案実行してまいります。

 大学院教育での高度な専門性の修得、学部教育での実社会が必要とする総合的な能力を身につけるための新たな教育手法の検討導入などに取り組んでまいります。小さいと思った大学の規模も気がつけば中堅規模に成長しています。実践力や社会性の育成に実績を持つさまざまな既存プログラムを礎にしながら、同等の目的、機能を持つ多様なプログラムをさらに一層育成していきたいと考えています。

 中高教育におきましても、人の土台を築く重要な時期でありますので、その時期にこそ身につけるべきグローバルな視点と技能を独自の手法で確立したいと考えています。幼稚園教育においても国際性や地域ニーズをよくくみ取った存在であるよう努力してまいります。

                                                     (2020.4)

■理事長プロフィール
島田 昌和(Masakazu Shimada)
経営学博士(明治大学)
1961年生まれ 早稲田大学社会科学部卒業 明治大学大学院経営学研究科博士課程単位取得満期中退。
ミシガン大学客員研究員、一橋大学大学院商学研究科日本企業研究センターフェロー、経営史学会常任理事(2015-2016年)
2015年 学校法人文京学園理事長就任 文京学院大学では経営学部教授として「経営者論」を担当する。
著書に『渋沢栄一 社会企業家の先駆者』『原典で読む 渋沢栄一のメッセージ』他多数