第一弾「新・文明の旅」現地リポート
学生報告⑯
3月11日(新・文明の旅12日目)
外から見る日本は、私たちに大切な何かを教えてくれました。3月11日、今日は私たちにとって忘れられない日です。東日本大震災からちょうど一年のこの日、遠く離れたルーマニアであの日の出来事、そして追悼式の様子がテレビで放送されました。現地時間午前8時36分、私たちは朝食の手を止め日本時間午後2時46分に合わせ黙祷を捧げました。海外の地に立ち、こうして日本のことを想うと自然と涙がこぼれ落ちました。同時にトルコ・ブルガリアで震災について共有し合った仲間が脳裏に浮かびました。放送では一番に原発について取り上げられていました。やはり東欧では身近なチェルノブイリの影響もあり、関心があるのでしょうか。
この日は、ひまわりアソシエーションによる「ひな祭り」が行われました。私たち文京生はそれぞれ茶道・折り紙・昔遊び・書道・風呂敷に分かれ、各ブースを担当しました。来客数は予想をはるかに超え、子どもから大人まで多くの地元の方々が訪れました。また、ルーマニアの有名なテレビ局やラジオ局も取材にいらっしゃっていました。
私は書道を担当しました。主に訪れた方の名前を漢字で書いてあげるという形になっていたのですが、名前の横に2012年3月11日と書き、地震について彼らに発信しました。彼らはとても真剣な眼差しで私の話を熱心に聞いてくれました。その中の一人に「悲しい」という字を書いてと頼まれました。何故「悲しい」という字を選んだのかと尋ねたところ、「日本でのあの出来事は僕らにとってもとても悲しいことなのだ」と答えてくださいました。
日本から遠く離れたこの国で私たちの日本を心配し、応援してくれている人々がたくさんいることに、驚きと感謝で胸がいっぱいです。インターネット上ではなく、こうして直の接触により彼らと関わりあえたことがとても幸せです。震災から“たった”1年、“もう”1年と感じるかは人それぞれ違うでしょう。私たち「新・文明の旅」派遣メンバー17名も、この旅で東日本大震災を日本人として発信し、感じたことは一人一人違うでしょう。しかし17名それぞれ違うストーリーを1つに合わせることによって大きな物語になるでしょう。
日本の外で自国を発信したこの経験を、この場限りで留めるのではなく帰国後に多く人に伝えていきたいです。18日に遠野まごころネット学生代表の方からイベントへの参加の誘いが来ているので、そこで私たちの活動と共に発信していきたいと思います。
報告者:一ッ谷 侑奈(外国語学部英語コミュニケーション学科)