第二弾「新・文明の旅」現地リポート
20150308 アウシュビッツ見学
ポーランド滞在もいよいよ終盤に差し掛かりました。幸運にも天気に恵まれ、クラクフの街も一層美しく感じられます。
本日の見学先は、アウシュビッツ収容所です。アウシュビッツはクラクフのホテルよりバスで約1時間の、オシフェンチウムにあります。オシフェンチウムは13世紀から続く歴史ある町で、戦前は当時人口の約8割がユダヤ人だったそうです。しかし、アウシュビッツでは多くのユダヤ人などが虐殺されました。その理由もあって、現在ではユダヤ人はほとんど住んでいないそうです。
施設に入ると、メンバーにはどこか緊張感が漂っているように思えました。それはアウシュビッツのような「負の遺産」を見学することは、精神的ハードルの高いものだからかもしれません。私たちはここで、ホロコーストという人間の最大の過ちの記録を見ることができました。様々な展示物や(壊された残骸も含めた)建物を見ていくにつれて、様々な疑問が湧いてきます。なぜ彼らは殺されなければならなかったのか。なぜ彼らは殺さねばならなかったのか。なぜ、なぜ…。考えても考えても納得できる答えは得られませんでしたが、このような事実を「忘れない」ことが大切なのかもしれない、という結論に至りました。自分が立っているその場所で、かつて多くの人々が虐殺されたという事実。目の前にあるこのガス室に入れられた人達は、どんな思いで一生を終えたのだろかと考えると、とてもやりきれない気持ちになりました。実際にその地へ訪れれば、知識を経験に変えることができます。私たちは人間の五感すべてを使って、アウシュビッツでの時間を経験することができました。しかしその反面、やり残したものもあったと実感しました。それは、事実を知った上で自分の意見や結論を出すということです。おそらくは、今日新たに知りえたことや感じたことを頭の中で消化しきれていないからかもしれません。アウシュビッツは、言葉では表しきれない場所でした。
アウシュビッツから帰ってきた後はクラクフでの最後の自由行動。20時からはホテルでミーティング。はじめは経営学部の磯野君と金澤君による、明日訪れる日本精工様についての情報共有です。現地で説明を受けるにあたっての助けになったことと思います。続いては、これからリトアニア、ラトビアでプレゼンテーションを行うにあたっての準備を行いました。ポーランドでは既存のスケジュール通りに進まなかったためです。同じ失敗を繰り返さないよう、お互いに対策を考えました。最後に磯野君と金澤君からは、ギルナー先生を含めた女性メンバー全員へ向けて素敵なお花のプレゼントがされました。というのも本日3月8日は「女性の日」であり、男性が花を贈る文化があったからです。
ミーティングが終わった頃には、ヤゲヴォ大学の学生さんたちがホテルまで来てくれていました。次の日ポーランドを離れるにあたっての最後の別れを言いに来てくれたのです。これまでのような長い時間は取れませんでしたが、出発前日にも会うことができて嬉しい思いでした。ヤゲヴォ大学の学生の皆さん達との交流は短くもたくさんの「気づき」に恵まれました。ただ単純に学び合うだけでなく、たくさんのコミュニケーションの中でお互いに信頼関係も生まれたと思います。また、いろいろな場所に連れて行ってもらう中で、ポーランドの若者のライフスタイルなども垣間見れた気がします。そういった新しい出会いの中で日本とは異なる生活文化や習慣を知り、自分の視野をまた少し広げられたのではないだろうかと感じました。最後の別れの時、皆でまた会う事を約束しました。再会の日がいつになるのか、それが近いのか遠いのかはわからないけれど、また会えると信じています。たった4日間の交流、ほんの数時間を共にしただけで、こんなにも心の通じ合える友人達と出会えるなんて、改めてこのプログラムの価値と可能性を感じられた1日でした。