「新・文明の旅+」渡航レポート
交流プログラム 8日目(9/8)
2019年9月8日午前
聖ペテロ・パウロ教会は、1668年から建設が開始されました。建物に記されている文字は、日本語に訳すると平和の神様という意味で、「我々の平和を守ってください」という意味を込めて造られたそうです。リトアニアには、バロック様式の教会が多く、こちらの教会もバロック様式です。中に入ると、約30年かけて造られた真っ白の内装が広がっており、神聖な雰囲気が息を飲むほどの美しさで感動しました。こちらの教会は、カトリックの教会であるため、懺悔をして贖罪を受ける懺悔室もあります。当時の人たちは、病院が今ほど発達していないこの時代、病気に罹ると神父のもとへ訪れたそうです。当時の人たちにとって神父は、偉大な存在だったのだと感じました。
ヴィリニュスの旧市街は、独立してから世界遺産に登録されています。とても広く、近くには森や川や丘があり、リガの旧市街と比較すると自然に囲まれています。「ヴィリニュス」という名前は、旧市街が「ヴィリナ」という川に囲まれていることに因んで名付けられたそうです。旧市街の暖色系の建物と、緑豊かな自然とのコントラストがとても素敵で、まるで映画のワンシーンを見ているようでした。
夜明けの門は、街を守るために造られた城壁の一部です。17世紀に聖母マリアのイコンが造られ、このイコンは奇跡を起こすと伝えられています。イコンの聖母マリアは、一般的に見る白い肌ではなく黒い肌で描かれている為、どこか神秘的な印象を受けました。
KGB博物館は、秘密警察KGBによる恐怖政治の実態を伝えている博物館です。拷問部屋や処刑室がそのまま残されており、当時の大量虐殺を生々しく物語っています。今までの神聖な教会や美しい街並み、伝統を学ぶ博物館などの見学とは違い、ここはリトアニアの悲しき負の遺産です。先生からも、気を引き締めて見学するように言われました。私は、事前学習の際にこの博物館について調べていたので、大体どのような博物館であるかは知っていました。しかし、実際に拷問部屋や処刑室を目の当たりにすると、「当時の秘密警察は一体どのような気持ちで人を殺めていたのだろう」、「ここに収容された人たちはどれだけ辛くて怖い思いをしたのだろう」と、とても考えさせられました。ホームページの写真だけではわからない空気感や、実際に行かなくては想像できなかったことがたくさんあり、本当にここを見学することができ良かったです。改めて、実際に見て感じて、考えることが大切だと思いました。
琥珀博物館では、一般的に見る黄色い琥珀だけでなく、緑の琥珀や青い琥珀、赤い琥珀と、日本ではほとんど販売されていない大変希少な琥珀までありました。約3000年前から、お守りとして使われていた琥珀ですが、リトアニア語で「ギンタラス」といい、「守る」という意味だそうです。琥珀はバルト海からたくさん採れる為、リトアニアでは比較的安く買うことができます。一方日本では、岩手県久慈市で琥珀が採れますが、採れる数が少ない為、価格は高いそうです。
(経営学部2年 井上楓袈)
2019年9月8日午後
午後はバスで40分ほどかけてトラカイ城の見学に行きました。トラカイには氷河期にできた30以上の湖があるそうです。湖面に反射する日差しがキラキラと輝きとても綺麗でした。トラカイは冬の1月から2月の寒い時期には、マイナス25度にまで気温が下がり湖は厚い氷に覆われるそうです。
トラカイ城は広大な湖の上に佇んでいました。小説の挿絵で見られるような美しい赤煉瓦のお城です。14世紀から15世紀に建てられたお城で、反対岸にある廃墟になっているお城はもっと古い時期に建てられた物だそうです。トラカイ城は、昔リトアニアを統治していたヴィタウタス大公が住んでいましたが、現在は歴史博物館となっています。貴族が過ごしていたゴシック様式の部屋に入り、コインや甲冑や絵画などを見ながらリトアニアの歴史についてガイドのビータさんに教えてもらいました。一階から地下、二階へと回った後、千葉さんが二階の壁の中に、昔使われていた階段を発見しました。せっかくのチャンスなので、みんなで降りてみることにしました。階段は螺旋階段になっており、一人が降りられるだけの狭い幅でした。私は、井上さんと暗い階段をスマートフォンのライトで足元を照らしながら「暗いね、昔は蝋燭を片手に持って降りたのかな」などと話しながらおそるおそる降りていきました。
18時頃には「P.S.」というレストランで夕食を食べながら、学園祭の報告に向けて最後のミーティングを行いました。「新・文明の旅+」を通して、それぞれが感じたことや学んだこと、今後の課題を伝え合いました。
(人間学部 2年 平井朝美・井原美咲)