「新・文明の旅+」渡航レポート
日本の伝統文化について学ぶ
「和楽器の魅力を探る」 実施報告
2020年9月14日に、文京学院大学、本郷キャンパスにて、「和楽器の魅力を探る」が実施されました。尺八奏者の津上弘道氏のご協力の基、箏(岡本悠希氏)、三味線(藤重奈那子氏)を交えた三重奏の演奏を披露していただき、学長はじめ30名程が美しい音色に耳を傾けました。演奏会当日は、「新・文明の旅」プログラムに関心を持つ2名の学生も参加し、自国の伝統文化の魅力を再発見したようです。また、ウズベキスタンからの留学生2名も参加してくれました。留学生2名は、コロナウイルス感染症の影響でフライトがなく帰国を待っている状態でしたが、日本に残っている間に、もう一つ思い出づくりができたようで大変喜んでいました。
和楽器の紹介
今回は、「春の海」「みだれ」「Imagine」「夕顔」という4つの演目を披露していただきました。演奏の合間には、津上様より和楽器について、それぞれ以下のように紹介してもらいました。
「箏は奈良時代に中国から『雅楽』という音楽の楽器として伝来しました。その後、16世紀後半から 17世紀初頭にかけて雅楽以外の音楽でも用いられるようになり、箏を弾きながら歌う音楽ができます。その音楽が江戸時代に三味線音楽の『地歌』と融合して『地歌・箏曲』と呼ばれるジャンルができました。また、明治時代以降になると、箏は現代音楽の中心的な楽器としても活躍します。箏は桐の胴に張った13本の糸に、「柱」と呼ばれるブリッジを立てて音程をつくります。この『柱』を動かしたり、『柱』の左側の糸を操作して音程や余韻を変えられることが特徴です。弾くときは主に右手にはめた爪を使います。」
「三味線は16世紀頃に、中国から沖縄を経て日本に伝来しました。江戸時代には日本中で演奏されるようになり、歌と三味線を中心として、たくさんの音楽が生まれました。『地歌・箏曲』や、歌舞伎の伴奏をつとめる『長唄』、東北地方の民謡伴奏に始まった『津軽三味線』も人気があります。バチで糸を弾く音に加え、バチが胴に貼られた皮を打つ音、サワリと呼ばれる独特のビビリ音が一体となって、三味線の音色を形作っています。また、楽器自体も『棹』と呼ばれるネックの太さや、糸にかける駒、張る皮の種類やバチの形などで音色が変わるため、それぞれの音楽に合った音が追求されています。」
「現在演奏されている尺八は、江戸時代に虚無僧という禅宗の僧侶が『法器』、つまり仏教の修行の道具として吹いていて、表向きは一般の人々の演奏は禁止されていました。実際には一般の人々によっても演奏されていましたが、正式に今でいう『音楽』としての尺八演奏の歴史が始まったのは明治時代に入ってからです。その後、地歌・箏曲や民謡などとの合奏が盛んになりましたが、20世紀には現代音楽でも盛んに用いられて、現在ではあらゆる音楽ジャンルで演奏されています。
伝統的な尺八は指孔が 5 つです。孔を半分開けたり、『メリカリ』というアゴを引いたり上げたりする技法を組み合わせて、出したい音を作っています。」
「新・文明の旅」プログラムの取り組み
今回の企画は、「新・文明の旅」プログラムの活動の一環として実施したものです。これまではユーラシア大陸の国々に目を向け、海外の文化や歴史、経済を学んできましたが、コロナ禍で渡航が難しいこの時期にこそ、日本の伝統文化を学ぶ良い機会ではないかと考えたのです。この演奏会の模様もビデオ記録を基に、日本文化を伝える映像コンテンツとして作成しようと考えています。海外の文京学院大学提携校の方々にも、ぜひこの映像を見てもらいたいです。これからも「新・文明の旅」プログラムは、海外に学び、日本に学ぶ活動を続けていくつもりです。
以上