第3回「新・文明の旅」 訪問国レポート
2017年3月19日 サマルカンドの歴史探索へ
■2017年3月19日
シルクロードの興亡の舞台、サマルカンドの歴史探索に出かけます。まずはじめにサマルカンドの復興を成し遂げた英雄ティムールが眠る「アミール・ティムール廟」です。内部は白地の壁一面に金箔が施され、光り輝く静寂がいつまでも続いているような雰囲気です。次にかつてサマルカンドが栄えていた「アフラシャブの丘」です。ここはモンゴル軍によって壊滅されるまでの何世紀ものあいだ、シルクロードの交差点として豊かな水と緑に溢れる街でした。ぼろぼろになった城壁跡に、私たちも足跡を残しかつての戦いや人々の生活に思いをはせました。
そこからは巨大な「ビビハニム・モスク」、そして「シャーヒズィンダ廟群」を巡ります。ここにはティムール時代の預言者や将軍などが祀られており、巡礼の人々が次から次へと祈りを捧げにやってきます。細長い敷地をゆっくりと辿っていくと、モンゴル軍もここだけは神聖な場所として手を出さなかったという最古の礼拝所にたどり着きます。狭い室内の壁際に多くの人が腰かけ静かに座っています。やがて祭主らしき男性がコーランを声高らかに唱えると、天井のドームに反響しながら室内全体がコーランの音色につつまれていきます。唱え終ると、皆、両手でそっと自分の顔を撫で、天を仰ぐような仕草をします。隣にいた4歳ぐらいの女の子も静かに真似をしています。
私たち日本人にとっては、イスラム世界はどこか遠い存在で近寄りがたいイメージを持ってしまっているかもしれません。しかし、礼拝所で感じたことは、ただただ美しいという言葉しかありません。それはキリスト教や神道に感じる美しさと同じなのかもしれません。現代社会のニュースで耳にする過度なイスラム原理主義の行いは、もちろん私たちにとっては脅威に違いありません。ただしそれは現地の人々が信仰するイスラム教や、日常生活の様子とはイコールではありません。
私たちに求められることは、正しい情報や正しい知識を得ることなのでしょう。「新・文明の旅」プロジェクトは、まさにそうした学びの機会となるはずです。さあ学生のみなさん、イスラム文化について、ちょっと調べておいてくださいね。私たちは、これからまた6時間かけてサマルカンドからタシケントに帰ります…。