【福祉医療マネジメント研究科】第4回公開セミナー「ヘルスケアスタートアップとアントレプレナーシップ」が開催されました
2024年10月19日13時より、本郷キャンパスにて第4回公開セミナーが開催されました。
今回は、「ヘルスケアスタートアップとアントレプレナーシップ~起業家の人的資本を探る~」というタイトルで、福祉医療マネジメント研究科 教授平田博紀先生にご講演をして頂きました。
■アントレプレナーシップの定義
まず、アントレプレナーシップですが、直接的な定義は、「起業家としてのあり方、能力」とのことです。それでは優れた能力を持つ起業家、起業家にとっての能力とはどのようなものを指すのでしょうか?
先生のお話では、起業研究の領域では、アントレプレナーシップを「新しいビジネスの機会の追求・利用の頻度」と定義するそうです。ですから、新しいビジネスをたくさん生み出す起業家は能力が高いということになります。
発見もしくは創造された新しいビジネス機会のうちの一部の機会のみが起業に利用され、そのうちの一部のみが成功を収める、ということです。
■新しいビジネス機会の発見と創造
新しいビジネスの機会の発見とは、観察可能な外生的ショックをきっかけに起業家がビジネスの機会を認識することであり、新しいビジネス機会の創造とは、まずはできることをやってみる、起業家のアクションにより新しいビジネスの機会が形成されることを意味するとのことです。そして、新しいビジネスの機会を形成・利用するためには、起業家の人的資本が必要とのことでした。人的資本とは、教育や職業訓練等により個人が獲得する経済的利益を最大化するための知識や技術を意味します。
■日本の超高齢社会とイノベーションニーズ
超高齢社会の日本には、医療・健康・介護の分野において豊富なイノベーションニーズがあり、アントレプレナーシップを発揮すべき機会が多く存在します。厚生労働省では、ヘルスケア企業のあらたなイノベーションの創出を期待し、今年「ヘルスケアスタートアップ等の振興・支援策検討プロジェクトチーム」を立ち上げています。
■ヘルスケアスタートアップと起業家の人的資本
最近2年間のバイオ・再生や医療機器、医療DX・AI、介護テック等のヘルスケアスタートアップ企業では、それぞれの領域においてマネジメント経験や専門的な知見を持つ人々が起業家として活動していることが確認できます。ヘルスケアの領域において新しいビジネス機会を形成し、利用するためには、このような人的資本が起業家に求められるのかもしれません。
超高齢社会の中、起業家達による新たなビジネス機会の発見・創造・利用が、医療・介護分野等において今後ますます必要とされるとのことでした。
以上、平田先生は一見難しい専門的なお話を事例等をもとにわかりやすくお話して頂きました。会場には学部生、大学院生等、これから就職を検討する若い人たちも多く、今後の社会のあり方と起業、ということについて真剣に耳を傾けていました。
当日は、平田先生の講演の後、活発なディスカッションがあり、その後福祉医療マネジメント研究科の大学院説明会、個別相談もあり、盛会のうちに終了いたしました。
福祉医療マネジメント研究科 鳥羽美香