大学院

【福祉医療マネジメント研究科】第3回公開授業「福祉人材養成論」を開催しました

2025.01.17

 「福祉人材養成論」の公開授業では、テーマを「福祉人材養成の現状と課題~現場からの考察」とし、教員および院生からの報告で授業が実施されました。 

🔳福祉人材の現状と課題

 授業担当の高橋准教授から「福祉人材の現状と課題」として、2026年には25万人、2040年には57万人という深刻な介護職員の不足が予測されており、多様な人材の確保育成、生産性の向上、外国人材の受け入れの施策が展開されていること、また、介護人材のキャリアパスも「富士山型から山脈型へ」との考え方が示されたことから、今後は現場でもキャリアパスが再構築されるのではと現状が話されました。さらに、多様な動機と文化的背景を持った職員が働き続けるためには、業務の細分化と業務標準化が急務であるとの指摘がされました。 

🔳介護現場における人材育成の取り組みと課題 

 野崎院生からは、自法人の取り組みを中心に、多様な人材が働く現場では「ビジン・ミッション・バリュー」の浸透や、各職層の役割を明確にすることの必要性が報告されました。

また法人では体系的な職階別研修を職員が講師となって実施していることや、新人研修はOJTを中心に実施していることなどの具体的な取組が述べられました。一方課題としては、まったくの未経験者や外国人介護職員が働いている現状では、今までの指導に加え、業務全体の見える化や業務の切り分け、外国人スタッフがリーダーとなる際の人材像やスキルの明確化、個人別キャリアの到達目標設定が課題であるとの報告がありました。 

🔳外国人日本介護入職制度に関する報告

 劉院生からは、外国人が介護職員として働くための介護四制度の報告がありました。特に、今後政府が力を入れていくとする「特定技能1号」についての説明とともに、介護職員受け入れの四制度の課題として日本語能力の差、専門技術能力の差が大きいことが課題として挙げられました。

🔳外国人介護職員から見た人材養成の課題

 邱院生および李院生は、二人とも介護職員として働きながら大学院に通っています。来日の動機や入職までの経緯の報告後、入職後は教科書と現場の違いに戸惑い、自分で勉強を重ねてきたとのことでした。

現場の課題としては、多様な国の外国人が安心して働けるようにするため、やさしい日本語や動画、画像をつかったマニュアルの作成が急務であること、外国人が長く働けるように介護福祉士資格取得の支援、外国人のキャリアパスの明確化が課題として報告されました。 

参加者からは、今後の人材確保の方向性や研修体制の構築についての質問もあり、和やかな雰囲気の中で終了しました。