総合研究所・出版助成実績
総合研究所・出版助成実績
総合研究所による本学専任教員向け出版助成実績等
2021年度出版助成
平成28年児童福祉法改正では,子どもが権利の主体であることを明確にし,社会的養護が必要な子どもたちには、家庭的環境の中で養育されることが望ましいと家庭養育優先の理念を規定し,実親による養育が困難であれば,特別養子縁組や里親による養育を推進することを示した.養子制度は民法により養子縁組をすることにより法律上でも親子となる制度である.近年日本でも法整備をはじめとして養子縁組促進に向けさまざまな検討が行われている。しかし養子縁組後の支援体制は日本ではまだ整えられているとは言いがたい。そこで血縁のない養親と養子がどのような心理的葛藤を経験し、それらを通して親子関係を構築する過程と必要な支援について約25年の縦断的調査により考察したものである。
現代は,高齢者の健康状態や生活の様子,その意識等が多様化してきている時代である。
にもかかわらず,高齢者に対するイメージは,旧態依然としたステレオタイプなものではないだろうか。
本書では,専門職養成におけるエイジズムの課題について検討していく。
儒教のもとで敬老思想が浸透した東アジア(日本,韓国,台湾)における実態を比較研究した。
福祉・医療系専門職の価値・倫理とエイジズム,実践における態度とパターナリズムにまで研究範囲を広げ,実態調査を行った。
高齢者を対象とする職種である,福祉・医療の専門職養成に携わる教員である著者たちの研究成果の集大成。
2020年度出版助成
発展途上国における開発協力プロジェクトでは女性の収入向上支援に取り組むことがある。開発協力の現場では、女性が経済力をつけることで世帯内での発言力を増すという期待があるが、期待する結果とはならないこともある。本書はナイジェリア北部のハウサ社会を事例として、女性が世帯内の意思決定にどのように関わっているか、34組の夫妻への継続した個別インタビューの分析を基に描き出した。女性たちは世帯内、コミュニティー内でのジェンダー役割と不平等な力関係の中で尊厳を保ちながら、自身が望む状況を得ようとする。女性のエンパワーメントを促すために必要な支援とはどのようなものかを提示する。
2019年度出版助成
720年(養老4)に正史として撰進された『日本書紀』は、天皇・文人貴族らによる講書、そしてその読み方を書き入れた写本などの形で伝えられ、古辞書・注釈書類にもその成果が取り込まれるなど、これらの学問の痕跡は古代の和訓・アクセントを今に伝える貴重な資料群である。
『日本書紀』古写本および関連資料に残された和訓・声点を網羅的に調査・検討、さらにそれらが付され伝えられていったその過程を明らかにすることにより、古代日本語の学問体系やアクセント史における新知見を提示する。
大学の現場において教育改革が叫ばれて久しい。いまの教育改革に問われているのは、いかにして主体的、能動的に学び続ける人間を育てることができるかということであろう。
本書は、文京学院大学(BGU)の2016年度人間学部FD委員会において1年間にわたって実践研究に取り組んだ成果をまとめたものである。
ここで紹介した教育実践は、アクティブ・ラーニングの視点から魅力ある授業づくりをめざした各教員の努力と工夫の賜物である。
同じように大学の授業改善に取り組む諸氏にとって何らかの参考になれば幸いである。
(他の執筆者: 金子智栄子・古市太郎・渡辺行野・青木 通・長野祐一郎・加曽利岳美・馬渡一浩・茂井万里絵)
2018年度出版助成
対人援助専門職を中心に援助に当たる人々に対し、コミュニケーションの意味とその技法について理論的・実践的な知識を提供する。
心理学・教育学・医学・社会福祉学・経営学ほか広範な分野の研究者の学際的な協力によって実現した、ユニークな論文集。
本書では、二・五次元またはアニメライブと称される新しいタイプのライブを、経営とプロデュースの視点から考察した。収益面のみならず、事業者、演出家、俳優、音楽監督などにもヒアリングを重ね、その事業モデルを立体的に描くことを目的としている。
エンターテイメントもしくはその事業に関心のある読者には必読の経営論となるであろう。
2017年度出版助成
本書は、Vargo and Lusch(2004)によって初めて提唱されたサービス・ドミナント・ロジックにおける価値共創概念(企業が顧客へ提供する価値を、企業によって一方的に生産され販売されるものとして捉えるのではなく、企業が顧客と共同で創造するものとして捉えるという考え方)に関して、企業間サービス取引に着目して行った実証研究を著したマーケティング研究書である。
2016年度出版助成
本書は、今世界から注目を浴びている日本のマンガ・アニメを研究テーマに、文京学院大学の教員とトルコのアンカラ大学、ブルガリアのソフィア大学、ヴェリコ・タルノヴォ大学の教員による3年間にわたる国際共同研究をまとめたものである。
本書は、2012年度から3年間にわたって実施された日本とトルコの大学教員による国際共同研究の成果である。
2015年度出版助成
歌人として高名な齋藤茂吉は、精神病医でもあった。東京帝国大学医科大学を卒業後、東京府巣鴨病院医員、長崎医学専門学校教授、欧州留学、青山能病院院長を歴任した茂吉は、精神病者への差別・排除が常態化していた時代にあって、病者の自殺、逃亡、暴力に日々直面した。
本書では、精神病医として懊悩しつつも全力を尽くし、病者へのあたたかな眼差しを送り続けた茂吉の全体像を、単価、随筆、日記、書簡などを手掛かりに描き出す。
2014年度出版助成
本書は、Joseph DesJardins,「An Introduction to Business Ethics,Fourth Edition」(McGraw Hill,2011)の全訳である。
著者のJoseph DesJardins(ジョセフ・デジャルダン)教授は、米国ミネソタ州にあるSt.Benedict College/ St.John’s Universityの哲学の教授であり、教務担当の副学長も務めた経験を持つ、日本でもよく知られた教育研究者である。
2013年度出版助成
その最晩年、〈彼〉は私たちのイメージする〈作家ヘミングウェイ〉ではなかった。
老いと病に苦しみながらも、ノーベル賞受賞後にもう一度花咲かせようとした〈作家ヘミングウェイ〉。
晩年の作品群の変更過程をオリジナル原稿の修正痕から丁寧に辿り〈彼〉が発信あるいは隠蔽しようとした多層的な〈ヘミングウェイ〉を明らかにする。老いゆく作家が第二次大戦後に抱いた壮大な構想「陸・海・空三部作」とは何だったのか。
2011年度共同研究助成
世界は今、流動性が増し、社会情勢が著しく変化し、グローバル社会への進行が加速している。
日本においても伝統的な生活が空洞化し、社会の包摂性と相互扶助の新しい形が求められている。
また、地球規模での環境問題が悪化し、生命が脅かされている中で、南北間の格差を解消しようという動きがある。
本書では、こうした状況で求められている、共に生きる「共生」の倫理という視点を分かりやすく紹介する。
2010年度出版助成
幼児が、親や近親の他者との相互行為をとおして社会化していく過程をおもちゃを介した親子間相互行為の観察と子どもの一日の生活の生態学的観察から検討する。
2009年度出版助成
本書は、生成文法理論研究を初めとする言語学研究において現在最も注目されているトピックの一つである linearization(語順決定)の問題を、統語部門と音韻部門のインターフェイスの在りようと関係付けて、経験的、理論的側面から包括的に捉える試みである。特に左から右への累加的な構造構築(Phillips 1996,2001等)を採用し、音韻部門へのスペルアウトの単位が統語的構成素と音韻的構成素の対応関係によって定まるような、派生的な統語部門から音韻部門への写像のモデルを提案している。