2021年 理事長 島田昌和 新春のご挨拶
ウイズコロナ・ポストコロナの教育を目指して
新たな年を迎え、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。昨年は、新型コロナウイルの感染拡大により、園児・生徒・学生の学びや育ちの場が大きな制約を受ける苦しい一年でありました。コロナ禍の中で一年近くを過ごし、国内外を含め直接、見聞できないことのつらさや、これまで経験したことのない事態への個々の判断がいかに難しいかを突きつけられています。
まだ予断を許さず、来たるべき入学試験・卒業式・入学式等をはじめとし、新年度を如何に迎えられるか、緊張を強いられながらの日々が続いて参ります。基本姿勢は教育を止めない、ありとあらゆる方法を用いて、この状況下で従前に劣らない教育の提供を皆様にお届けすることであります。リモートでの大学祭や研究シンポジウム、動画を駆使した学園祭を実施したり、在宅で学ぶ学生への各種の応援メッセージや楽曲の提供など、これまで実施したことのない新たな取り組みもなされましたので、なお一層、工夫を積み重ねて参ります。
2021年は大学創設30年を迎え、2024年の学園創立100年がだいぶ間近になってきたというタイミングになります。コロナ禍を含め、人類が取り巻く環境のさまざまな激変に翻弄される時期になっているのかもしれません。それは地球の気候変動や必要な資源問題、貧困や格差の拡大、人種や宗教、政治や文化背景の違いに根ざした民族や国家間の軋轢などがあります。しかし、これらはすべて人類が引き起こした、人為的な原因によるものばかりです。我々はそのような陰鬱とさせるような諸問題に立ち向かう力を身につけなければならない訳です。
人々が生きていくための経済活動のあり方そのものも疑問が呈されています。株主価値の最大化のための資本主義システムが欧米でも見直しの声があちこちに上がり始めました。企業の広い利害関係者を視野に入れ、環境や社会への配慮や企業統治の尺度によって経営し、投資すべしという声が広がりつつあります。
日本においても私が長年研究する渋沢栄一の「合本主義」や論語にもとづく倫理的な経営に注目が集まっています。実は日本は、今世界がめざそうとする資本主義の方向性を過去において実現していた国なのです。これからはじまる世界の変化を主導したいものです。
大学では「共育力」すなわち、仲間とふれあいわくわく悩むなかで共に育つ教育を標榜しました。これはまさに、渋沢栄一のめざした社会、ひいてはこれからの世界がめざすべき目標に合致したものと考えることが出来るのではないでしょうか。大学創設30周年(学園97年目)から2024年の学園創立100年を踏まえて、この学園の設置校がそれぞれに新世代に応じた教育を提供できるよう次のステージに進んで参ります。混沌たる世界をわくわく悩んで、切り開こうではありませんか。