学園紙Pickup 平成24年4月30日号 記事詳細
「交流協定」により深い絆
本学の学生をユーラシア大陸の国々に派遣し、文化交流を図る第1回「新・文明の旅」プログラムが3月16日、充実した内容で終了しました。
4月19日には、学生が訪問したブルガリア共和国の「ヴェリコ・タルノヴォ大学」から、プラメン・レグコストゥップ学長とバグレリア・ボリソヴァ副学長が来校。学生たちに「理論と実践の管理者」をタイトルに講演をしました。レグコストゥップ学長は、他大学・政財界人の交流などについて触れた後、芸術家としての業績にも言及。自身の絵画作品の紹介や、フランス、ドイツで開いた数々の展覧会について、さらにボリソヴァ副学長は、同大の環境や学生の様子、各学部などの詳細について話しました。
聴講した学生からは、「ブルガリア共和国の大学進学率」「ダブルディグリーの専攻の例は?」などの質問があり、それぞれ「大学進学率は60%以上だが、海外に留学する学生が多い」「英語と日本語の組み合わせが一番多い」という回答。
講演会終了後は、場所をサロン・ド・ブンキョウに移し、レグコストゥップ学長と川邉信雄学長が、島田燁子理事長はじめ駐日ブルガリア共和国大使館員のペタル・ニコラエフ(文化教育担当)氏を含む関係者が見守る中で、同大と本学との「交流協定書」に署名。今後の学生、教職員の派遣・受け入れを軸とした、さらなる深い交流を誓い合いました。
縁が広がり出会いの奇跡 福井勉 スポーツマネジメント研究所所長/保健医療技術学部教授
スポーツマネジメント研究所は、開設から2年経過いたしました。本研究所は、大学院保健医療科学研究科の付属機関であり、企業からの委託研究や製品開発の仕事を行ってきました。その新商品はアンダーウエアや靴下のような身近なものです。別の企業と共に、スマートフォンで人の全身写真を撮影して姿勢を点数化するソフトウエアの開発も手掛けております。両方とも今年度中に製品化される予定です。
また、産業総合研究所と共に人間の歩行について新たな視点から動作の標準化を行い、理学療法や作業療法によって動作がどの程度改善したのかを数値化し、治療の効果判定や予後予測のための研究を行っています。生涯学習センターにご協力いただき、講習会開催も行ってきました。研究所主催のスポーツ傷害に関わる講習会を昨年度は5回開催し、延べ177人の参加をいただきました。
さらに、動作解析を必要とするアスリートやダンサーなどに対して、モーションキャプチャーを用いたフォーム分析をフィードバックするサービスも行っております。マーカーを体に付けていただき、カメラで撮影したものをご自分のパソコンで3次元的にどの方向からも見られるようにしたものです。これは主にバレリーナの方に好評をいただいております。本郷近辺に多くある医学書出版社と「臨床スポーツ医学」「sportsmedicine」などの企画や執筆をさせていただいたり、一般雑誌やテレビ番組のお手伝いもして参りました。
この2年間、今までにはお会いすることがなかった方々と話をする機会をいただきました。「縁」がさらに縁を広げ、時に出会いの奇跡を感じています。そして、さまざまな方とお会いして、その場に前向きな創造的雰囲気が作られるときには、何故かスポーツと似ているなと感じることが多かった気がします。思考や感情に対して行動が優位になって成果に結びつくときです。「『夜中の素振り』がいざという時のために大事なこと」「結果が出て自己成長を感じられる場面があるとモチベーションを維持できること」を基に、「結果を出す」ことを新たな年度の方針としていきたいと考えております。
派遣学生が両キャンパスで体験発表
2月29日から17日間にわたって実施された第1回「新・文明の旅」プログラム。
その17人の派遣学生の代表者が、3月24日、仲間や関係者が見守る中、本郷・ふじみ野両キャンパスで体験発表会を開きました。当日はオープンキャンパス実施中のため、会場には高校生が多数来場。今回は本郷の部を紹介します。
まずは深山恵理子さん(現外国語学部3年)が、「新・文明の旅」プログラムについて説明後、派遣学生として訪問したトルコ共和国、ブルガリア共和国、ルーマニアでの日々の体験により身につけた「積極性」などについて話しました。
真剣に聴き入る高校生に向けて、深山さんは「人生において、やるかやらないかで迷った時は、ぜひ『やる』ことを選択してほしい。前向きに挑戦すれば、道は必ず拓ける」と強調しました。続いて五来美里さん(現保健医療技術学部臨床検査学科3年)が、ルーマニアのアレクサンドル・イオン・クーザ大学で行った英語による「AIDS」に関する発表を再現。臨床検査技師として国際的に活躍したいという夢を持つ五来さんは、難解なテーマにも関わらず、解り易く伝えようと努力。来場者も熱心に報告に聴き入りました。現地での発表では、学生から様々な質問が出たことで、五来さんは大きな手応えを感じました。現地で本番を迎えるにあたり、ホームステイ先の家族の前でもプレゼンテーションを実施。発表用のポスターを一緒に作成してもらい、温かな応援を受けて充実した発表ができた喜びを語りました。
最後に橘田美優さん(現外国語学部2年)が、コミュニケーション能力の大切さについて発表。数カ国語を話す橘田さんは、改めて英語が世界共通語であることを実感。その中で、現地の学生がなぜ日本語を学ぶのかを知りたくて質問したところ、「日本のマンガやアニメが好き」という回答をもらいました。「確固たる興味の対象を理解するために言語を学ぶ」という考え方に感銘を受けました。橘田さんは「高校2年生(現3年生)が、第2回『新・文明の旅』プログラム派遣学生の対象になります。ぜひチャレンジして知識を広めてほしい」と報告を結びました。当日は、クーザ大学(ルーマニア)の卒業生、アンドレイ・ボグダン・クリスチャンさんも来場。「新・文明の旅」プログラムにより、派遣生と巡り会えた喜びを語りました。
オープンキャンパス開催中のB’sダイニングでは、他の派遣学生が「新・文明の旅」プログラム・コーナーを設け、来場者に17日間の体験を報告し、好評を博しました。同プログラムでは3月1日~4日「被災地支援ボランティア班」も活躍。岩手県でのボランティア活動について、トルコ共和国のアンカラ大学、ブルガリア共和国のソフィア大学へスカイプを通じて発信。現地の学生から大反響があり、有意義な意見交換をしました。両者の報告は、本学のホームページ「新・文明の旅プログラム」欄で読むことができます。 さらに、前出の深山さんは、派遣学生の福嶋友美さん(外国語学部現3年)と共に、本学の1年生対象の大学入門活用法の授業においても「新・文明の旅」プログラムでの体験を語りました。1年間の学びを経て現地で活動した派遣学生、およびボランティア班の学生たちは、今後もあらゆる場面で活躍していきます。
文京生がホスピタリティを発揮
被災地から埼玉県ふじみ野市に移住・避難された方々のための憩いのサロンを、ふじみ野市交流実行委員会が定期的に開催しています。名称は「おあがりなさい」の意味で、福島県の方言の「おあがんなんしょ」。 3月11日には、同市の市民交流プラザ「フクトピア」で開催。同市の高畑博市長、松舘千枝実行委員長、被災者の吉岡延夫さんの挨拶に続き、本学の地域連携センターBICSの一環として活動する「CHESS」のメンバーが、梶原隆之准教授(人間福祉学科)と共に登場し、演奏と歌を披露しました。
「いい湯だな」の演奏では、梶原准教授がマイクを持って会場を巡回。来場者も手拍子に合わせて元気に歌いました。 演奏はピアノ・山本恵さん(現心理学科4年)、ボーカル・タンバリンは中島綾香さん(現心理学科2年)、ギター・ボーカルは關谷梨絵さん(現児童発達学科3年)、ベースは渡辺美咲さん(現人間福祉学科3年)、フルート・ボーカルは原口可奈子さん(現人間福祉学科4年)。そして、梶原准教授は、ギター・ドラムスを担当して、演奏を盛り上げました。
さらに、被災された方々に、子どもの世話から離れて寛いでほしいと、人間福祉学科の学生たちが子どもの遊び相手を務めました。参加者は以下の学生です。現3年=清水里味子さん、小野綾子さん、小林樺糸さん、野澤佳奈さん、山内優太さん、長谷川裕理さん、伊藤実悠さん、小泉洋平さん、現2年=徳田紗貴さん、黒澤志保さん。どのメンバーも心を込めて来場者に対応しました。