【経営学部川越ゼミ×武蔵野大学データサイエンス学部 】 生成アルゴリズムによる新作江戸小紋図案・商品発表会を実施
5月29日、本郷キャンパスにて、経営学部経営史研究ゼミナール(担当教員:川越仁恵准教授)と武蔵野大学データサイエンス学部の共同研究によって制作された新作江戸小紋図案、および新図案で染めた新商品「スイーツ尽くし小紋」のメディア向け発表会が実施されました。
両大学では2021年より、伝統工芸品の中でも技術の継承・図案の新作誕生が難しい江戸小紋に着目し、生成AI関連技術による伝統工芸産業発展の共同研究に取り組んでいます。本学では、江戸小紋の古い作例から、流行した江戸小紋の特質をマーケティング調査し、これまで暗黙知であった図案の制作理論を明らかにしました。武蔵野大学は、その理論に従って、デザインモチーフを自動で配置する独自のアルゴリズムを見出すことに成功しました。
川越ゼミの学生たちは、江戸小紋の中でも錐彫りと呼ばれる技法で小さなモチーフをランダムに配置する「けれんもの」において、錐彫りの特徴である「点」で描き分けが可能な100種類にも及ぶモチーフを試作・選定していきました。武蔵野大学では、これまで難しかったランダムにモチーフを配置する図案構造を、生成アルゴリズムを活用して生成し、最終的に手作業で配置の修正をすることで、バラエティに富む散らばり方による美しい図案が誕生しました。 そして、いくつかのモチーフ図案を東京染小紋の伝統工芸士である五月女利光氏に提案し、「スイーツらしく見える」「シルエットがバラエティに富んでいて散らばり方、ランダム具合が一番美しい」「人気のでそうな図案」という観点から、江戸小紋の新作として「スイーツ」図案が「スイーツ尽くし小紋」として商品化に至りました。
本研究では、江戸小紋に新しいアイデアを提供するだけではなく、デザイン支援システムとして伝統産業の分業を補完し、それによって着物市場を活性化させることを目指していきます。