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「育てにくい」と感じる子ども(1)
「うちの子、同じくらいの他の子とちょっと違うな」
「上の子の時はこんな事なかった」
「頑張っているのに、なんだかうまくいかない」。
大きい声では言えないけど、「ちょっと育てにくいなあ」と思うことはありませんか。
自分の育て方が悪いからだ、と悩むお母さんも多いようです。
誰かに相談したくても、自分の子育てが悪い、と言われてしまいそうで、
誰にも言えず悩んでいるお母さんも多いと聞きます。
では、何故「育てにくい」と感じるのでしょうか。
様々な意見や考え方があると思いますが、コミュニケーションと愛着という面から考えてみたいと思います。
人は、「ことば」を使い自分の意志や感情を伝え、相手はそれを受け止めます。
受け取った相手は、その情報から刺激を受け、自身の中でも感情や意志が生まれます。
それは共感であったり、反発であったりします。
たとえば、お子さんが「今日初めて逆上がりができたんだよ!」とお母さんに言ったとします。
今までどんなに頑張ってもできなかった子が初めて逆上がりができた。
お母さんは「よかったね!」とか「やったね!」「すごいじゃない」と返事をするとします。
これは逆上がりができた、という情報を子どもは母へ伝えると共に、逆上がりができて嬉しい、
という気持ちを共有していると言えます。
その後にお子さんが「でもね、手の皮むけちゃった」と皮がむけた手を見せると、
お母さんは「わあ、痛そう。消毒しなくちゃね」と言うかもしれない。
母は自分の手の皮が剥けたわけではないのに、それを痛いと感じる、これも共感だと言えます。
このように、お互いが相手の気持ちに自分の気持ちを合わせていく事が積み重なることで、
コミュニケーションはすすんでいきます。
コミュニケーションとは、ものすごくおおざっぱに言ってしまえば、やりとりの事です。
2人以上の人が、情報や感情、意志などを伝え合い、受け取り合う事を言います。
これは、動物にも見られる行動ですが、特に人間は「ことば」を用いる事により、より細やかなやりとりができます。
もちろん、コミュニケーションとはことばのやりとりだけを指すのではありません。
言葉にしなくても、顔の表情や視線、相手との距離で、相手に気持ちを伝える事ができますし、
そういった要素から相手の気持ちをくみ取ることもできます。
アイコンタクトなどはこれに含まれます。
顔は笑っているけれど目が笑っていない、本当は怒ってるんだ、なんて事に気付いたりする事があるかと思います。
これも、ことばではない(非言語的)コミュニケーションであると言えます。
また、ことばでのやりとりにおいても、その発せられたことばの意味だけでなく、
声の大きさ、アクセントの置き方、しゃべる早さなどで、意志を表すこともできます。
非言語的コミュニケーションは意識して行う事もあれば、無意識に行う事もあります。
これらは、受け取った相手が解釈をする事で、初めて「やりとり」として成立します。
生まれてすぐの赤ちゃんは言葉を話せません。
それでも、お腹が空いたりおむつが汚れたことを泣いて知らせたり、
あやされて声を出したりすることで、お母さんとコミュニケーションを取る事ができます。
このコミュニケーションを取る力が、子どもの発達や次にお話しする愛着、
さらに発達へと大きく関係してくるのです。
では、このコミュニケーションを頭に置いた上で、次回は愛着について考えていきたいと思います。