留学体験談
(保)海外短期フィールドワーク(マレーシアコース)報告10
保健医療技術学部海外短期フィールドワーク(マレーシアコース)に参加している学生からの報告です。
マレーシア病院実習、水曜日は午後に治療が無い為、午前・午後ともに見学できる日は今日で最後になりました。前回書かせて頂いた精神障害に対する治療をはじめ、様々な治療を見学させて頂きました。マレーシアの作業療法は日本と似ており、使用される道具は日本で使われていても違和感の無いものばかりでした。発達領域では、ボルスタースイングやトランポリンなど、日本の感覚統合でも用いられる道具が多く揃えてありました。身体領域では、ペグボードやアクリルコーンなど、日本の病院でも見覚えのある道具が置かれていました。そのため、先生との英語の会話が難しくても、内容は何となく理解できることが度々ありました。マレーシアでの作業療法は日本の作業療法と親和性が高いと感じました。
その一方で、日本では見ることのできない点もたくさんありました。1人の作業療法士が同時に複数の患者を治療すること、1人のセラピストが入院患者を16人ほど担当しなくてはならないことなど、作業療法士の不足による問題も知ることができました。作業療法を教える講師も少ないため、学生も1クラス20人未満だそうです。
その中で、私が最も印象に残った部屋があります。この部屋は主に発達領域の患者、特にADHDや自閉症など狭義の発達障害の患者に対し適用されます。部屋に入り、扉を閉めると、完全に光が入らない状態になります。部屋にある十数個のスイッチをつけることで、光が移り変わるおもちゃが転倒する仕組みになっています。導入目的として、「興奮状態の子供をリラックスさせる。」「暗闇で1つのおもちゃを転倒させ、対象物へのアイコンタクトを促す。」「壁に照射した絵に触れて、目と手の協調を促す。」があります。部屋の中はとても幻想的です。私が見学で部屋に入った際も、不思議な風景に目を奪われました。このような設備が日本にあれば、指導的になりがちである狭義の発達障害に対する治療も、子供が楽しみながら行えるのではないかと考えました。
心残りはADL訓練を見学できなかったことです。治療内容が日本と大差がないことから、日常生活に密接にかかわるADL訓練なら、文化差による治療や指導の違いが見えると思ったのですが、機会を得ることができませんでした。来年参加する学生には、ぜひADL訓練を見る機会に恵まれ、それを私に伝えて頂けると嬉しいです。
夜は福井先生が中華料理を御馳走してくださいました。留学するということ、海外で働くことなど、ご貴重なお話を聴かせて頂き、留学に参加できる機会を頂けたことに、改めて感謝しようと考えました。
明日は病院実習の最終日です。午前中のみの見学となる為、(私個人でいえば、何とか1人で作業療法の見学が出来た自分を褒めつつ)悔いの無いように過ごしたいです。(T. I.)
トランポリン。手すりがついています。
ボルスタースイング。子供は真っ先にこれをやりたがります。
ペグボード。色分けがされていて、様々な用途に使えます。
ミラーボール。部屋中にヒカリが散らばります。
バブルライト。スイッチで光の色が変わります。
ファイバー。不規則に光の色が変わります。
照射機。壁に移った絵に触れることができます。
これらのスイッチを使い分けて治療を行います。