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留学体験談

【マレーシア】マラ工科大学 交換留学レポート

学先     : University of Technology MARA
学部・学科  :外国語学部 英語コミュニケーション学科 国際教養コミュニケーション専攻
留学期間   :2018年3月2日~8月15日           
氏名・学年  :H・Kさん(留学時:2~3年生)   


1.マレーシア留学
私は、3月2日から6ヵ月間、マレーシアのUiTMに交換留学に行きました。マレーシアの前にアメリカ留学にも参加しましたが、アメリカに留学している時から、マレーシア留学には行ってみたかったので、不安より楽しみの方が大きかったです。向こうでは、Public Relation Counselling Project、New Media and The Network Society、Intercultural Communication、Mass Media and Society の4つの授業をとっていました。私はメディア系に興味があり、また日本ではあまりないディスカッションやプレゼンテーション、グループワークがあるということで、これらの授業を取ることにしました。

2.思い出深い授業
マレーシアの大学で最初に驚いたことは、授業によってクラスの時間が違うということでした。例えば、日本では全ての授業が90分ですが、マレーシアでは、3時間の授業もあれば2時間の授業もあります。また、その授業の長さによって単位数も変わりました。そして、私が取っていた授業の中で4時間という長さの授業もありました。途中で短い休憩は入り、ディスカッションなどがあるものの、やはり4時間1つのものに集中するというのは慣れるまでなかなか大変でした。
私が一番思い出にある授業はPublic RelationCounselling Projectです。この授業は最終学年のファイナルプロジェクトで、みんなで企画してイベントを作るというものでした。資金集めのために一からスポンサーを自分たちで見つけ、色々な企業に連絡を取ったり、宣伝も全て生徒だけで行いました。そのイベントはラマダン時期だったので、モスクで行うことに決め、親がいない子供たちや、宗教を学んでいる子供たちを招待しました。ラマダンといって、イスラム教徒に重要なお祝いを学ぶことができました。また、このイベントを通して、クラスメートと距離が縮まったので、このイベントはとても思い出深いです。

3.他民族国家
留学では、学業はもちろんなのですが、それ以上に学ぶものがとても多いです。違う国に住み、現地の人々と毎日を過ごすというのは旅行では得られない文化の違い、ユニークさを肌で感じることができます。マレーシアは他民族国家です。マレー系、インド系、中華系の人々が共にマレーシアで暮らしています。その3つの文化を1つの国で学べるというのはマレーシアの醍醐味です。私が住んでいたところ、UiTMがある地域は、ほぼムスリムの人々が住んでいる地域でした。また、UiTM自体マレー系がほとんどの大学なので、イスラム教徒に触れるというのは毎日でした。例えば、学校では女子は肌をあまり見せてはいけないので、長いズボン、スカートを履き、半袖より長いものを着るなどのルールがありました。向こうで過ごしていて強く感じたことは、宗教がとてもマレーシアの文化に影響しているということです。マレーシアの友達に日本の宗教について聞かれることがとても多かったり、みんなで国同士の宗教に対する違いを話し合ったり、日本にはない空気がそこにはありました。ムスリムの方々は、1日に5回お祈りをします。なのでキャンパスの中に大きいモスクがあったり、各学部の建物にお祈りをする”Prayer room”などがありました。モスクやPrayer roomの中は、とても不思議な雰囲気です。みんなが見えない”何か”のために時間を使ってお祈りし、その”何か”のために食べれないものがあったり出来ないことがあったりと、今私が言われてもなかなか出来ないことをマレーシアの友達たちは、それを当たり前とし暮らしているというのはとても興味深かったです。何がそこまでこの多くの人々を動かしているのかと、とても不思議に思いますが、やはり宗教と文化の繋がりということなのでしょう。

4.ラマダン
私が滞在していた時とラマダンの時期が被ったので、ラマダンを経験することができました。断食と聞くととても大変なのですが、日没後にみんなでいっせいにご飯を食べ始めたり、とても広い屋台へ友達と行ったりと、日本では体験できないとてもユニークな文化が楽しめました。また、ラマダン後にあるハリラヤというお祝いもあり、これはマレーの人にとってクリスマスのような、一年で1番大きなお祝いです。たくさんの友達の家に招待され、マレーシア伝統の服を着て、伝統的な料理をみんなで食べたりと、マレーシアを肌で感じた、とても楽しく思い出に残る良い経験でした。

5.異文化交流
異文化交流というのは、違いを日々発見し、それを否定するのではなく、受け入れることが大事です。やはり、マレーシアはまだ発展途上国なので、不便なところや疑問に思うこともあります。例えばシャワーが水だったり、交通機関が日本みたいにちゃんとしていなかったり。しかし、それも全て新しい経験で、新しいことを日々発見でき、毎日が刺激的でとても楽しかったです。また、VISAやアパートのこと、様々なことに対して自己責任だったので、英語でそれらを対処していく、自分でこなしていくというのはとても良い経験でした。英語で自分一人で生き抜く力がついたと思います。それはアメリカ留学では感じなかった新たについた力だと思います。また、留学生として同じプログラムに参加していたドイツからの学生と、とても仲良くなり、困ったことがあったり不安を感じた時は一緒に乗り越えたりと、同じ立場の留学生はとても心強かったです。異文化理解について話し合ったり共感しあったり、また一緒に旅行に行ったりと、ドイツからの友達との時間もとても忘れられない貴重な思い出です。

6.マレーシアの人々
マレーシアで一番印象に残っていることは、出会った人々です。マレーシアの方々はみんな本当にフレンドリーで優しく、我々外国人をとてもよく歓迎してくれました。また、時間の流れがとてもゆっくりで、東京の人たちのようにいつも何かに追われ、せかせかしている人を見るのはとてもレアです。東京で生まれ育った私にとって、とても不思議かつその時間の流れがとても心地よかったです。また、向こうで強く感じたことは、私たちはお互い英語を第二言語として使っているということです。そのため、私たちが英語を学ぶのにどれだけ苦労しているのかということをお互い理解しています。アメリカの時はみんながネイティブだったので、対等ではなく、時々どこかみんなが私を子供扱いしているのではないかなど感じたことは多々ありました。しかしマレーシアでは私たちみんなが平等に英語を第二言語として使い、コミュニケーションをとるただのツールとして理解していました。そこの部分はとても大切で、過ごしやすかったです。

7.人との出会い
留学中は色々な人と出会うことができました。マレーシアの他、アフリカの様々な国から来ている生徒やドイツの生徒、韓国や中東から来ている生徒と関わる機会も多かったです。特にシリア出身の友達との会話は鮮明に覚えています。紛争が絶えずあるシリアで私の友達はジャーナリストで、多くの友人を失くしたと話していました。私にとって、シリアでの戦争はテレビ上の話で、遠い話のようにいつもニュースを見ていました。しかし、このように実際経験したことのある友達から直接話を聞くというのは本当に貴重で、日本にいたらなかなかできないことだと思いました。彼はまだ25歳で私と3つしか歳が変わらないのに、私の想像をはるかに超えるような経験をし、背負っているのだと、思うことがたくさんあり、考えさせられました。色々な人々と出会い、このような話を聞くと、本当に日本で生まれたという事実、健康体で不自由なく学ぶことができるという事実に感謝しなければいけないと強く感じます。このような一つ一つの出会いは、私の人生の中でとても大きなものになり、かけがえのないものです。

8.私たちの「当たり前」
このマレーシア留学を通して1番学んだことは、私たちが思う”当たり前”は、他の人の”当たり前”ではないということです。意外と簡単ではないが、それを受け入れ、理解をするというのが人々を成長させ、文化を学ぶということだと思います。ただ留学に行くだけではなく、しっかりと広い視野をもち、好奇心を忘れず積極的な姿勢でいれば、このように素晴らしい出会いがたくさんあり、様々な経験をすることができます。これらの経験は誰にも盗めない自分自身の強みとなり、財産となります。マレーシア留学では、これら全てを可能にしました。そしてマレーシアはそれだけ素敵な国だということです。マレーシアで過ごした日々、出会った人々、全てが恋しいです。今後、この恩を返せるように、この経験を生かし、立派な大人になってまたマレーシアを訪れたいと思います。

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