2023年11月11日開催した公開講座「日本と台湾のターミナルケアの現場から~チームマネジメントとターミナルケア体制の課題」の報告
11月11日(土)13:00から15:30、ふじみ野キャンパスW302で、「日本と台湾のターミナルケアの現場から~チームマネジメントとターミナルケア体制の課題」と題したに公開講座を人間福祉学科が主催となり開催しました。
当日の様子について人間福祉学科鳥羽美香教授からのレポートをお届けします。
公開講座レポート
超高齢社会を背景に、ターミナルケアのあり方は重要課題の一つで、近年は日本だけでなく台湾においても議論が活発化しています。今回、本学と包括協定を結んでいる台湾台北市の総合大学 東呉大学のソーシャルワーク学科教授 荘秀美先生の来日に合わせて公開シンポジウムを開催しました。最初に人間福祉学科中島修学科長から挨拶があり、その後、荘秀美先生の講演でした。
台湾でも高齢化が進んでいますが、台湾では特にターミナルを意味する「善終」というとらえ方があるということをご紹介いただきました。善終というのは、患者、家族および介護者を無用な心配や苦痛から救うことを意味するということで、台湾ではとても重視されているとのことです。しかし近年老人ホームやホスピスが増加しており、自宅よりも医療機関などで亡くなる人も増加し、医療機関などでもチームケア体制が進み、スタッフの研修などの更なる充実や施設での様々な取り組みの整備などの課題が挙げられました。
また、本学人間福祉学科の准教授高橋明美先生からは、制度面の変遷やその課題について、概略を述べられて日本におけるターミナルケアの基準や制度について理解を深めました。さらに、ゲスト講師として、特別養護老人ホームでターミナルケアを積極的に取り組んでいる社会福祉法人福音会の在宅部門ゼネラルマネージャー 宮川 大蔵氏、特別養護老人ホーム 福音の家施設長・軽費老人ホームA型町田愛信園施設長 戎 めぐみ氏、社会福祉法人白十字会 白十字ホーム運営管理担当部長 鈴木 剛士氏からのご発表でした。それぞれが取り組んでいらっしゃる実践現場でのターミナルケアについてご紹介いただきました。
特に、組織における多職種協働の重要性や専門職のリーダーシップなどについて意見が出されました。福音会からは、尊厳を守るケアの実現のため、生活環境整備や介護職の課題など様々な試行錯誤の中、ターミナルケアを進めていかれた経緯が紹介されました。そして日々の生活の延長線上に終末期があるという支援の理念を実現することの重要性が論じられました。白十字会からはターミナルの現場では、特に老人ホームは医療機関ではないので、医療と施設の連携が不可欠であることや、その人らしさを最後まで、という実践理念を実現するための職員の取り組みが紹介されました。
以上のように、日本と台湾の実践現場の熱心な取り組みについてそれぞれの方から紹介され、2時間半という長い時間があっという間に過ぎました。会場には約50名の人間福祉学科の学生や教員等が集まり、質問も多く出て、和気あいあいとした時間を過ごせました。最後に皆で記念撮影をしました。今後とも、このような国際交流を継続させていきたいと思います。
(人間福祉学科 鳥羽美香)